ある患者さんの不妊治療。その1

桜の花びらも散りゆき、日に日に暖かさを感じられる春のある日に、初めて来院されました。

 

主訴は、不妊治療(体外)をしているけれど、血流が悪いのかしてなかなか着床に至らないので何とかしたいとのことでした。

 

また、お話をお聞きしている中で、これまでに6回移植をしたがなかなか思うように行かなくて、鍼治療を最後の望みと託して当院に来られたことも話してくださいました。

 

まずは週1回のペースで鍼灸を。それにたまによもぎ蒸しも取り入れながら、体を変えていくことに。それは妊娠できる体ではなく、無事に出産できる体にしていくということです。

おぎゃーと産まれてくるわが子をぎゅっと抱きしめることができるよう。

 

治療をしていく上でまず最初に気になったのが、患者さんの腰まわりの冷えです。

腰まわりの冷えはそこだけではなくて、内臓も冷えている可能性があります。そしてその冷えは子宮への血流にも影響を与えています。

そこで、腰まわりの冷えやそれに関係するツボを指標にして何度かはりやお灸を。それに加えてよもぎ蒸しもしていると腰まわりの冷えも改善されていきました。

そして、当院に来院されてから1カ月半ほど経ち、いよいよ移植の日を迎えました。

 

患者さんは、今までは移植の少し前に内膜の厚さがピークになり、移植日には少し薄くなる傾向にあったようですが、

今回は移植の前まではりやお灸をすることで、移植日当日が一番厚みを増していたとのことでした。

このように腰まわりの冷えを改善していくことで、子宮内膜の厚さにも良い変化をもたらします。

(特に、内膜の厚さが移植の基準ぎりぎりのことが多い方は、鍼灸でかなり救われると思います。)

そして移植後にも一度鍼灸を受けていただき数日後の判定日を待ちます。

 

結果は、陽性反応。

 

しかし、数週間後心拍確認ができないままあかちゃんの成長は止まってしまいました。

以前にも、胎のう確認は出来たけれど心拍確認が出来なかったことがあり、ここが大きな鬼門になっているようでした。

 

流産は経験した人にしかその思いは分からないと思っている私は、何と言葉をかけていいのか分かりません。

患者さんに、

「ここまでよく頑張りましたね」

「お母さんの体だけでも、無事でよかったですね」

こんな言葉をかけても、あかちゃんは戻ってはこないという現実にそのような言葉は薄くてもろく、患者さんの心には響かない気がして、結局いつもどんな言葉もその時に出てこないし、また後から考えても答えが出ないままです。

私ができることは、

患者さんがまた私を必要としてくれるのなら、それに応えることです。

 

つづく

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奈良県生駒市東松が丘2‐5 有家マンション103

こも池鍼灸院

TEL  0743-73-8177

 

 

 

 

 

 

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