患者さんの妊娠・出産までのお話 その5の続き
『1年後の夏』
春からの24時間点滴をつけての入院生活がしばらく続いた後は、家での絶対安静生活の毎日。
先の見えない焦りや苛立ち、不安に押しつぶされそうな気持ちや、
楽しいことよりつらいことの方が多かった日々の思い出。
けれども、その先にあったのは、
初めて自分の子どもに見つめられた時に
今までのことがすべて報われたような安堵の気持ちでいっぱいになったようでした。
出産予定日より2週間早い出産だったにも関わらず、3100gを超えるお子さんだったそうです。
陽性反応の知らせを聞いた時
胎嚢確認の知らせを聞いた時
心拍確認の知らせを聞いた時
その時その時で、私もうれしく思う気持ちでいっぱいだけど、ゴールはおぎゃーと産まれてくるあかちゃんを抱くことなのだから、いつも「良かったね!」という言葉をかけてきたけれど、
無事に出産されたことを聞けて、初めて「おめでとうございます!!」
と言葉をかけることができました。
患者さんが一番好きな夏。その夏に出産されました。
数日後、
病棟で患者さんのお子さんを見た、見ず知らずのおばさまから「あなた、妊娠中に何か気をつけてしていたでしょう」と声をかけられたそうです。
その時、患者さんは「鍼灸をしていました」と返事をされたそうです。
おわり
こも池鍼灸院
奈良県生駒市東松ケ丘2-5 有家マンション103