四国八十八ヶ所お遍路参り
2025年11月、スーパーカブで四国八十八ヶ所巡りに行ってきた。私のスーパーカブは110ccなので高速道路に乗れない。
淡路島ルートはもちろん不可。
無料の自動車専用道路、それも不可。
つまり選択肢はひとつ。
ひたすら下道を走る!
和歌山港までトコトコ走り、フェリーで徳島へ渡る。
スピードは出ないし、時間もたっぷりあるわけでもない。帰ってからは、鍼灸院の移転準備が待っているからだ。
ある意味、修行はもう始まっていた。
徳島に着いたら、まずは一番札所・霊山寺。
ここで納経帳、納札、ろうそくなど一式そろえ、いよいよ本番スタート。
八十八ヶ所を9日間かけて巡った中で、
特に印象に残っているのが66番札所雲辺寺から67番札所大興寺へ向かう山道
その日は天気予報は雨のち曇り。
山道を走る頃には雨も上がると期待していたが、あいにくの雨。
晴れていたら朱色に染まった紅葉を見ながら、るんるん気分のドライブコースらしいが
カーブを曲がるたびに標高が上がり、気づけば霧が発生。
いや、発生というレベルじゃない。
前が見えない。
涙が出そうなくらいうるうる気分の道を、
慎重に、慎重にバイクを進めていると、
路肩に落ちた車をレッカーしている現場に遭遇。
こんなの見せられたら一気に緊張感アップ。
綱渡りしてる感じの慎重さで
さらに進むと、
今度はハザードをつけて停止している車。
ついに自分も視界ゼロに近づき、
正直、心の中では
「これ…修行ちゃうで、試練やで」状態。
でもここで止まるわけにはいかない。
霧が晴れるのを待っていたら、納経時間に間に合わない。
しかも今日の宿は、さらにその先。
今日、絶対に17時までにたどり着いておきたい
半ば祈りながら、
歩くようなスピードでカブを進めていると、そこで奇跡が起こったよ!
突然、霧がスーっと晴れていく。
さっきまでの白い世界が嘘のように視界が開け、導かれるように
そのまま一気に走り、
17時ギリギリ滑り込みセーフ
あれはもう、
運が良かったのか、
弘法大師さんが「助けてやろう」と思ってくれたのか
今でも思い出すたびに、
「あれは不思議やったな」と思う出来事。
スーパーカブでのお遍路は、
速くもないし、楽でもない。
でも、その分、
夏に出た、M-1と同じくらい
忘れられない景色と体験がしっかり残った。