不妊鍼灸について。ひとりの患者さんを例に

不妊とは、子どもを望むカップルが1年経っても授かることができない症状で、現代では3組に1組が不妊と言われています。

また、晩婚化が進むにつれて高齢化が進む一方で、不妊に悩む20代のカップルも増加傾向にあると言われています。

 

このことを表すかのように、当院の不妊鍼灸に20〜40代後半の方が通われています。

 

不妊鍼灸をしていて感じるのは、妊娠に至るまでの通院月数は年齢に比例しない、個々の身体の状態に左右されると言うことです。

身体の状態の良し悪しを決めるのは、気血の巡りが良いか悪いか、どの場所にどの程度の問題があるのかで判断します。

 

気血の巡りが悪くなるのはどこに原因があるのか?

 

ある患者さんを例に

 

【主訴】

・不妊(多嚢胞性卵巣症候群)

・全身の冷え(特に手、足、おしり)

・貧血

・肌荒れ

・ぜんそく

 

【不妊期間】

・2年1ヶ月

 

【生理周期】

・33日前後

但し、クロミッド、セキソビットなど排卵誘発剤を使用した場合。

薬を使用しない時は、周期が長くなる傾向あり

 

【食事】

・昼ーコンビニ弁当

 

【その他の特徴】

・生理が来ても基礎体温が下がりにくい

・生理の色が黒っぽく、かたまりが出てくる

・子宮頚管粘液(おりもの)が排卵時期に関係なく出ている

・ストレス過多

・歯の食いしばり

 

気血の巡りの良し悪しは、東洋医学では五臓の働きに起因していると考えます。

五臓とは、肝・心・脾・肺・腎になります。

五臓の働きが乱れると気血の巡りも乱れてしまいます。

 

この患者さんの場合は、多嚢胞性卵胞症候群の症状から卵胞を育てる卵巣の働きが良くないことが考えられること。

生理が来ると出血で体内の熱が外に出されて基礎体温が下がりますが、体に熱が残っていると基礎体温が下がらないまましばらく推移してしまうことから、五臓の中の主に腎の働きが良くないと考えられます。

 

子宮頚管粘液(おりもの)は、通常は月経直後から数日間は非常に少ないが、排卵近くになると量が増えて、水っぽく透明で粘ったものになりますが、絶えず出ている状態は体に留めておく力が低下しているからで、これは五臓の中の主に脾の働きが良くないことが考えられます。

 

ぜんそくは主に肺の働きが良くないと考えられます。

 

ストレス、歯の食いしばりは、主に肝の働きが良くないと考えられます。

 

これらのことから、この患者さんの場合は、肝・脾・肺・腎の4つの臓の働きが良くないことが分かります。

これらの蔵が気血の巡りを悪くしている原因だと考えて、鍼灸治療をしていきます。

 

臓の働きの良し悪しはツボにも表れます。

臓の働きが正常でない時は、ツボに張りがなくぶよぶよしていたり、ざらざらしていることがよくあります。

参考までに

臓とリンクするツボ

肝は太衝・肝兪

脾は太白・脾兪

肺は太淵・肺兪

腎は太谿・腎兪

 

 

こも池鍼灸院

奈良県生駒市東松ヶ丘2−5 有家マンション103