【問診】
主訴 不妊
慢性的な冷え、肩こり、むくみ、生理痛
以前に子宮内膜症と診断され、約2年間ピルを服用
黄体機能不全の傾向あり(高温期が維持できない)
フルタイムで働き、夜勤があり24時間勤務することもある
年齢 30代半ば
【治療方針】
①冷え体質の改善を一番に考えて治療をしていく
冷えは血流の悪さが原因と考えられます。
血流が悪いとホルモンの運搬も悪くなり、卵巣や子宮に届くはずの栄養素が満足に届かず、卵胞や子宮内膜の育ちに影響してきます。
また、冷えの改善は生理痛の改善にもつながります。
主に脾経を使用する。
②高温期が続かないことからホルモンバランスの改善をしていく
仕事によるストレス過多で交感神経優位が続いている状態のため、自律神経を整えていくことで改善を図る。
主に肝経を使用する。
③卵子の質の向上
年齢とともに卵子も老化していくと言われていますが、体質を改善することで卵子は若返ります。
主に腎経を使用する。
この3つを治療方針の柱として妊娠・出産の道を作っていくことにしました。
【治療頻度】
妊娠力を養う身体づくりの治療ペースは週1回。これまでの経験からこれくらいの頻度が効率よく身体を変えていくことができると感じているからです。
病院での治療は妊娠が目標になりがちで、患者さん自身もそれに引っ張られてしまう傾向にあります。
しかし、本来はおぎゃーと産まれてくる我が子を抱くことが出来るまでの力が必要なはすです。
当院では、それが妊娠力だと考えて施術を行っています。
【治療経過】
初診 △年4月1日
慢性的な症状を改善していくことで妊娠力の土台づくりをしていきます。
早ければ2、3カ月で整ってきます。
慢性的な冷えは脾の弱り
むくみは腎の弱り
ホルモンバランスの乱れは肝の弱り
これらを改善するために、脾・肝・腎経を用いて施術をしていきます。
ツボは、脾経は三陰交、腎経は復溜、肝経は曲泉にささない針をしました。
5回目 △年4月26日 D25
数日前に排卵(病院で確認)
基礎体温は排卵4日後にようやくじわじわと上昇。
7回目 △年5月10日 D6
前回の治療の3日後に生理が始まる。
今回の生理は6日間で終わり、以前のようなダラダラと続くことはなかった。
15回目 △年7月6日
来院から3カ月。この期間、タイミング療法でチャレンジしても結果が出ないため体外受精にステップアップ。
身体が変わり始めた段階なので、もう少しタイミングで行ってみてもいいのでは(それに体外受精になるとお金のかかり方も違うし)、と私は思っていたのでそれとなく伝えましたが、患者さんの意思は強く、タイミングから人工授精をとばして体外受精へ。
26回目 △年9月27日
2日後の採卵に向けて、最後の仕上げ。
これまでの施術内容と基本は大きく変えずに、脾・腎・肝経の3つの経絡をメインにして、その時の身体の状態からこの3つの順序を組み立てを見直しながら針をしていきました。
採卵結果は、初期胚1個・胚盤胞5個を凍結。
31回目 △年11月10日
今日が病院での判定日。
当院に来られた後に病院へ行って結果を聞いてくるとのことでしたので、脈の状態からおそらく妊娠しているから大丈夫と言って患者さんを送り出しました。
病院で検査の結果は、陽性。
しかし、出血が続いていたため、病院で確認してもらうと子宮外であることが判り、手術。
39回目 ○年2月9日
数日前に凍った路面で足を滑らせて頭を強打。
頭・首の痛みがあり、今日はこれを取り除くための針施術も一緒に行いました。
頭にはホルモンの分泌に係わる脳下垂体・視床下部があり、首はホルモンの通り道になります。
強い衝撃を受けた頭は、病院の検査で異常がなくても、気の流れ・血の流れが悪くなっている場合があるため、必ず流れを良くする針をしておきます。
2日後に2回目の移植
今回は判定日まで患者さんの仕事の関係でこちらに来ることは出来ませんでした。
それが影響したかは分かりませんが結果は陰性。
41回目 ○年3月16日
先月に引き続き、今月も移植月に。
今回で3回目の移植。
過去2回とも受精卵を複数個戻していたので、今回が凍結していた最後の受精卵になります。
今回ダメだとまた一から採卵。そのことを考えると、今回の移植で着床そして出産までたどり着きたい気持ちがより一層強くなります。
42回目 ○年3月20日
移植当日。
移植が夜ということで、その前に当院で着床率が上がるように血流を良くする施術を行いました。
44回目 ○年3月29日
翌日が判定日。陽性。
その後、胎嚢確認ができて、次に心拍確認ができて順調に経過していましたが、7W3d病院に。切迫流産のため2週間の自宅安静。
48回目 ○年5月10日 10w
つわりとの戦い。
針をすると、胃の重たさやのどの閉塞感が和らぎ、楽になるようです。
51回目 ○年6月1日
12~13wにかけてまた出血があり病院へ。
診察の結果、出血はあるがあかちゃんは元気でちゃんと成長していますとのこと。
鍼灸を週1回続けていたことが功を奏したかもしれません。
妊娠中期になると、お腹が大きくなり、腰痛と便秘に対しての施術も取り入れました。
後期は、お腹の張りや全身のむくみに対しての施術も。
患者さんは、仕事から疲れて帰ってきても、寝付きが良くない日が多いけれども、鍼灸をした日はすぐに眠れて、次の日が楽だったと話されていました。
72回目 ○年11月1日
35w まで来院されました。
○年12月◎日
あかちゃんは逆子になることもなくすくすくと育ち、無事に出産しましたとご報告いただきました。
採卵がうまくいくか・移植がうまくいくか、妊娠初期のあかちゃんがちゃんと成長しているか分からないといった気持ちの面での不安や、つわりやむくみ、お腹の張りなど体のつらさなど、鍼灸は様々な問題に対応することができます。
当院はひとりでも多くの方に出産への道案内ができるように、ささない鍼とお灸でお手伝いしています。
こも池鍼灸院
TEL 0743-73-8177
奈良県生駒市東松が丘2-5