不妊鍼灸

多嚢胞性卵巣症候群への鍼灸治療の考え方

2019年12月26日

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは、

①月経不順
②卵巣に小さな卵胞がたくさんある
③男性ホルモンが高くなるなどホルモン値のアンバランスがみられる。
この三つが揃うと多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)になります。

もう少し説明を加えると、①月経不順とは、月経周期は通常25~38日周期ですがそれを超える周期、周期が安定しない、基礎体温が二層に分かれていないなどの場合が該当します。

②月経が始まると次の排卵に向けて下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌され、刺激を受けた卵胞が成長していきます。最初は百個ほどが成長し、徐々に吸収されて最終的に一個になります。
この卵胞のことを主席卵胞と言います。
ホルモン分泌に異常があると主席卵胞まで育つ卵胞ができない、多数の小さな卵胞が卵巣に残った状態になります。
この状態をエコー画像で見ると、粒が数珠つなぎになって見えることからネックレス・サインと呼ばれています。

③下垂体から分泌されるホルモンは、黄体ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)があります。黄体ホルモンばかり過剰に分泌されると排卵障害になります。(月経2,3日目のホルモン数値がLH>FSHの状態です。)
血糖値を下げるインスリンも関連していると言われていますので、血糖値が高い人は、特に注意が必要です。

 

多嚢胞性卵巣症候群は、排卵障害になり不妊の原因になります。
妊娠を希望される場合、西洋医学では、排卵誘発剤で卵胞の成長を促す場合が多くあります。
しかし、一度に複数の卵胞が大きくなり排卵しようとして、卵巣が大きくはれ上がり、お腹や胸に水がたまることがあり、このことをOHSSと呼びます。
最近では、OHSSになりやすい人や卵胞が大きくならない人に、卵胞が7~10mmの大きさで採卵する方法(IVM)があるようですが、妊娠率は一般体外受精よりやや下がるようです。

 

当院の多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)改善の方法について

PCOSは、下垂体への栄養不足による機能低下が原因だと考えています。
そのため、栄養を補うための経絡を選択して施術方針を立てていきます。
これは経絡を通って気血(栄養素)が運搬されている考えに基づいています。

下垂体へつながる経絡は胆経です。
胆経の流れを見てみると、目の横から始まり、耳の後ろへそして目の内眼角へ、そこから側頭部・後頭部、首から鎖骨へと続きます。
このことから、十二本ある経絡で一番下垂体に関係がある経絡と考えられます。

次に、胆経の表裏関係になる肝経も施術を考える上で重要になります。
これは、シーソーのように、どちらかに刺激を与えるともう一方にも必ず影響するからです。
肝経は、血の循環を担い、生殖器・下垂体などホルモン器官と関係が深い経絡でもあります。

次は、肝経と仲良し(相性)関係の経絡を考えます。
この経絡は腎経になります。
腎経は生命エネルギーの源になります。

肝経・腎経はともに不妊鍼灸治療でよく使用する経絡です。
多嚢胞性卵巣症候群と不妊鍼灸治療がつながりました。
不妊鍼灸治療をベースに多嚢胞性卵巣症候群を改善していくことができそうですが、さらに別の角度から診た施術も併せて行います。

下垂体は内頚動脈から上下垂体・下下垂体動脈へ血液が流れていますので、この流れに関係するツボや下垂体の場所のツボ(印堂穴)への施術などを行います。

 

血糖値の高い人(90mg/dl以下が望ましい)は鍼灸治療と並行して食生活を見直すこともお勧めします。
内分泌の異常は糖が影響しているため、甘い物・乳製品・卵などを控えることで血糖値が下がり、過剰に分泌していたインスリンが抑えられて、ホルモン環境が改善して排卵しやすい身体になります。
また、鍼灸治療の効果引き上げにもなります。

 

まとめ

当院の多嚢胞性卵巣症候群への鍼灸治療の考え方は、下垂体へつながる胆経と肝経、腎経の三つの経絡と下垂体への血液の流れや場所に合わせたツボに施術をすることで多嚢胞性卵巣症候群の改善をしていきます。

この方法による多嚢胞性卵巣症候群改善の科学的根拠はありません。
しかし改善した事実は多数あります。
自然な形で排卵できる身体づくりを希望される方や、OHSSの予防をしたい方、過去にOHSSになった経験から薬を使用したくない方などのお役に立てれば幸いです。

当院の鍼施術は、ささない鍼を使用しています。
皮ふに刺さらないので、痛みや出血心配がなく、安心安全に受けていただけます。

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