「排卵がうまくいかない」「生理周期がバラバラ」――そんな悩みの背景に多いのが PCOS(多嚢胞性卵巣症候群) です。
近年は若い女性にも増えていて、妊活中に病院で「PCOSですね」と言われて不安になる方も少なくありません。
けれども、PCOS=妊娠できない、ではありません。
体質や生活習慣の工夫、そして鍼灸のサポートによって、妊娠の可能性を高めることは十分に可能です。
この記事では、PCOSの特徴と妊娠への影響、さらに鍼灸でできるサポートについて詳しく解説します。
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PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)とは?
PCOSは、卵巣にたくさんの小さな卵胞が並び、排卵がスムーズに起こりにくくなる状態を指します。
日本の女性の約5〜10%に見られるといわれ、決して珍しいものではありません。
主な特徴
•生理周期が長い(35日以上)または不順
•排卵が起こりにくい、もしくは無排卵
•基礎体温が二相になりにくい
•血液検査で男性ホルモン値が高め
•卵巣が腫れぼったく、エコーで「ネックレス状」に卵胞が並ぶ
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PCOSと妊娠の可能性
PCOSでは排卵がうまくいかないため、自然妊娠の確率が下がることがあります。
しかし、排卵さえ起これば妊娠の可能性は十分あります。
妊娠しにくさの理由
1.排卵までに時間がかかる → タイミングが合わせにくい
2.排卵しない周期がある → 妊娠のチャンスが減る
3.ホルモンバランスの乱れ → 子宮内膜の環境が整いにくい
病院では排卵誘発剤やホルモン療法が用いられることが多いですが、体への負担や副作用が気になる方もいらっしゃいます。
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東洋医学からみるPCOSの背景
東洋医学では、PCOSは単に「卵巣の病気」と捉えるのではなく、 体全体のバランスの乱れ として考えます。
よく見られる体質タイプ
•腎虚(じんきょ):卵巣機能や排卵力の低下
•痰湿(たんしつ):余分な水分・老廃物が溜まりやすく、卵胞の発育が妨げられる
•気滞(きたい):ストレスや緊張で気の流れが滞り、ホルモン分泌が乱れる
•血瘀(けつお):血流の滞りで卵巣・子宮の環境が悪化
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鍼灸でできるサポート
鍼灸は、「排卵しやすい体の土台づくり」 を行い、ホルモン分泌の正常化を促します。
鍼灸で期待できる効果
•自律神経を整え、ホルモンバランスをサポート
•卵巣や子宮の血流を改善
•ストレスを和らげ、気の巡りを良くする
•体質(腎虚・痰湿・気滞など)に合わせた調整で妊娠力を底上げ
よく使うツボ
•三陰交(さんいんこう):ホルモンバランスを整える代表ツボ
•関元(かんげん):子宮・卵巣のエネルギーを補う
•足臨泣(あしりんきゅう):卵胞の成長を助け、自律神経も整える
•太谿(たいけい):腎の力を養い、排卵をサポート
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自宅でできるPCOSケア
食事
•油っこい食事・甘いものを控える(痰湿体質に注意)
•大豆製品、緑黄色野菜、魚などバランスよく
•冷たい飲み物より温かいスープやお茶を
運動
•軽い有酸素運動(ウォーキングやヨガ)で血流改善
•下半身の筋肉を動かして代謝をアップ
ストレスケア
•深呼吸や瞑想でリラックス
•好きなことを楽しむ時間を大切に
まとめ
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)は排卵しにくさから妊娠が難しくなることはありますが、 決して「妊娠できない病気」ではありません。
鍼灸によって体のバランスを整え、排卵しやすい環境を作ることで、妊娠の可能性を高めることができます。